
夏の暑さを和らげる
ニュアンスカラー
夏の暑さに強く、育てやすい千⽇紅。バイカラーの千日紅「エレスチャル」は、淡いピンクとローズが混ざり合い、やわらかで繊細な表情が魅力です。夏越しの手間も不要なので、園芸初心者でも安心。日本の暑い夏を乗り越え、次々と開花するので、花壇や切り花、ドライフラワー等、さまざまな形で長期間お楽しみいただけます。販売:角田ナーセリー「真夏に強いシリーズ」
【エレスチャル】DATA
- 学名
- Gomphrena globosa
- 分類
- ヒユ科センニチコウ属の半耐寒性1年草
- 草丈
- 40~80㎝
- 開花期
- 6月~11月
- 花色
- ローズと淡いピンクのバイカラー
- 耐寒性
- 弱
- 耐暑性
- 強
How to grow
基本の育て方


Points of how to grow

大きく育ち、たくさん開花するので、株周りを広くして植えましょう。
40~80㎝の高さまで伸び、こんもりとふくらんだ状態で育つエレスチャル。
10.5号のロングポットで花付きで販売されますが、さらに大きくなりますので、秋まで楽しむなら株の周囲を広めにとって、たっぷりの土で植えましょう。
花壇の場合は株間25~30cmくらい、鉢は8号ポット(直径24㎝)くらいに1株がおすすめです。
※鉢は排水のスリットが入ったポットを選ぶと、扱いやすいです。

植えた時と夏の終わりに、緩効性肥料をやりましょう。
気温の高い時期によく成長し、寒風が吹く11月ごろまで咲き続けるので、「植え付け時」と「夏が終わる頃」に肥料をやりましょう。ゆるやかに養分が土に溶ける粒状肥料「緩効性肥料」を使います。

たっぷりの土に植え、明るいひなたで育てます。
エレスチャルは、暑さを好む植物なので、明るい日なたで育てます。1株につき培養⼟6ℓ程度を⽬安に⽤意しましょう。草丈が伸びたら、必要に応じて支柱を立てましょう。

乾きは禁物。根までたっぷりと水をやりましょう。
表面の土が乾いてきたら、たっぷりと水をやります。根を大きく張らせるために、根の先にある成長点にまで水をやることを意識します。
Arrangement method
アレンジ
グリーンスタイリスト古橋くみ子さんのお気に入り、「千日紅エレスチャル」の寄せ植え。




暑い夏でも元気に咲いてくれるお花の存在はうれしいもの。グリーンスタイリスト古橋くみ子さんがおすすめしてくれたのは、「千日紅エレスチャル」です。
「夏の花はハッキリした色のものが多いのですが、エレスチャルは柔らかな表情があって可愛いお花なので、花壇がとっても和むんですよ。育て方も簡単で、園芸初心者におすすめの品種。ぜひ育ててみてほしいですね」。
今回、古橋さんが作ったのはエレスチャルをメインに、同じく夏に強い観賞用トウガラシ、ポーチュラカを加えた寄せ植え。背が高くまるく育つエレスチャルに、カラフルな鑑賞用トウガラシで変化をつけ、ポーチュラカが垂れ下がる立体的な構成となっています。
動画では、寄せ植えの方法はもちろん、長く楽しめる管理の仕方も紹介しています。




VERY PLUS ONE 株式会社代表
グリーンスタイリスト
古橋 くみ子先生
グリーンスタイリストとして年間5000人の園芸レッスンを開催。
初心者にもわかりやすい解説が人気で全国で園芸教室、イベント、講演を務める。
雑誌、メディアなどにも植物を通し衣・食・住にあったライフスタイルを提案している。
オリジナル商品などではヒット商品も多数販売されている。
VERY PLUS ONE株式会社の各種公式SNS
Arrange pattern

切り花

ドライフラワー
Birth story
エレスチャル/誕生STORY

栽培現場での「変異発見」は生産者育種の最重要課題!
6年前、つのたんIPを立ち上げた早々のこと、当時、育種のターゲット探しにあれこれ苦慮し、海外の雑草をいじっていた時期がありました。そんな時、角田ナーセリーの営業・日野君が発した「“今年の真夏に強いシリーズ”ローズネオンからいろんな色が出ましたよ」という言葉に「これだ!」とひらめき、ターゲットが決定。
エレスチャルのベースとなったバイカラー株は、その年の24万株の生産物の中から発見されました。薄いピンク地に濃いローズ色の斑が入る一品で、従来の千日紅のビビッドなカラーに比べ、ふんわりと優しい色合いがなんとも可愛らしいものでした。
この一株を奇跡的に見つけ出したのが、元ハウス管理課社員の高木三史さんです。「よくぞ見つけましたね!」と現場が一気に盛り上がる、たまらない瞬間。さらに生産部森田君が「素敵な名前を!」と、宝石の一種バイカラー石から“エレスチャル”と名付けてくれました。
しかし、そこからが真の試練となる育種の世界。これを突然変異から新品種として安定的に生産できるようにするのが、つのたんIPの仕事です。
早速、変異の固定を念じて、採種、播種を執行。斑入りの再現はしたものの、出自からどうしてもローズオンリーの株や枝や花がチラホラ出てきてしまいます。様々な試験から条件を見つけ、最適な方法を探る果てしない作業。果てしないヤマに挑む登山者のようです。
こうした試験データを集め、「ローズ花を二度排除することによって、バイカラーの出現率が安定してくる」ことを発見。次なるヤマは、苗の生産のため、採種した種子を精製する作業です。これが、相当大変な仕事。千日紅の場合、家庭用精米機10台をフル稼働しても、40万粒という種子精製は、一人で2か月かかりきりの作業になってしまいます。しかも、種苗課からの要望に応えて、きれいに殻と羽毛を取り除くと、発芽率はグンと落ちてしまうのです。
この難題に対してベストな方法を導くための時間が圧倒的に足りないと感じた私は、まずは増産のため、種子生産のサポート体制を整える必要がある、と考えました。そこで採種と種子処理のプロ・VISTA F・F Inc.の佐藤さんに協力を仰ぎ、ドイツBenary社での採種を進めることに。この判断が功を奏し、その後はスムーズに精製まで漕ぎ着くことができました。
そして2019年夏に届いた種はなんと300万粒以上。発芽率も生産現場の支持も上がって、2020年からの苗生産状況も快調です。
毎年暑くなる一方の日本の夏ですが、そんな夏のエネルギーをたっぷり受けて、宝石のように輝き続けるエレスチャルに、ますますときめく私たちです。