「千日小坊」誕生物語

もう20数年になります。当時最も華やかだったEU花の展示会ブースの華やかな花々の中で、とても園芸植物とは思えない控えめな可憐さに心がなごみ、‘自分のための'お楽しみ‘に思わず購入してしまいました。でもヒースロー空港で私の手元を見たイギリスおばさんたちが皆さんにっこり笑って、Very pretty! とほめてくれるのです。イギリスと日本は'感性'で分かり合えるんだ・・なんて思ったものです。
日本へ帰ってきてから園芸先輩達をたずねたらなんと南米の花でアルテルナンテラ属、回りまわって地球の反対にある日本へやってきたのです。
数年後、「この花はなんというのかね?」
96年11月のジャパンガーデニングフェアで、皆さんがこの花の前で立ち止まりました。当時の企画担当が手をかけ、かわいらしく頃合いに咲いていたのです。展示の飾り用にワイン箱にいれてみたら、今思い出してもキラキラものです。そのうちにある方が、「小花が沢山なので、『千日小坊』というのはどうだろうか?」と命名してくれ、若手のデザイナーがすてきなロゴマークを提供してくれました。


そこから『千日小坊』の成長が始まり、『千日小坊』をきっかけに人が集まってきて「株の造りを何とかしよう」「花をつけなきゃ」、「いや切花にしたら?」・・・など皆さんが育て始めてくれました。特に都会の園芸店さんの支持は大きかったと思います。商品化で盛り上がるのと裏腹に、生産方は大変でした。元は作り手の言うことを聞かない暴れ馬のような植物だったのです。その後地道な選抜を繰り返し、大量生産も可能になり、穏やかさを取り入れこむための育種も合わさって、秋の定番になりました。
今日では、千日小坊が並ぶと「秋だなぁ。」とすっかり「日本の秋の風景にはまって感じる」という感想をいただきます。その後、初夏~夏向きのミルク掛けいちごのような『千日小鈴』が出ました。引き続き真っ白な『千日小雪』の誕生に向けて奮闘が続いています。
この秋に『千日小坊』を見つけたとき、ちょっとしたこの誕生秘話を思い出していただければ幸いです。
10年目頃、小坊を添え花にしたアレンジが流行。小坊に似合う葉物を店頭でお求めいただける企画を組みました。その後の葉ものの基礎です。
